建て替えや長寿命化対策を検討しているのは築40年以上でも4割弱―。東京都練馬区が2024年度に実施したマンション実態調査で、マンション再生に向けた検討状況を尋ねている。「今後も健全に管理していくために必要と考える対策」を尋ねると築40年以上の56・7%が「建物を長寿命化するための対策の検討」を選んだ。
調査結果は今年5月に公表している。昨年10月時点で区が把握する全分譲マンション1549件を対象にアンケートを実施し321件が回答した。
マンション再生に関する設問では、「建て替え・長寿命化対策を検討中」と答えたのは築40年以上でも38・9%。48・9%は同様の対策を「検討していない」と答えた。築30~39年では「検討中」30・4%、「検討していない」50・7%で「検討する必要がない」が2・9%あった(グラフ①参照)。
「建物が比較的新しく、老朽化は進んでいない」との考えがあるようだ。
「老朽化に備えた将来の望ましい対応策」は「建て替えよりも大規模改修などを計画的に行い、建物の長寿命化を目指す」が築40年以上は53・3%、築30~39年は59・4%を占め、いずれも最多。
マンションを今後も健全に管理していくために必要と考える対策は築40年以上・築30~39年共に「建物を長寿命化するための対策の検討」が56・7%、49・3%で最も多かった(複数回答。以下同)。
2位は築40年以上(51・1%)・築30~39年(47・8%)共に「修繕積立金の増額」。築30~39年は「中長期的な資金計画の見直し」が同率で並んでいる(グラフ②参照)。
長期修繕計画の作成率はおおむね8割。計画期間は「30年以上」が61・7%、「20~29年」8・4%、「10~19年」7・8%。長期と呼べるか疑問があるところだが「10年未満」が2・2%あった。
管理費・修繕積立金の収支状況は、築40年以上の12・2%程度が現時点で管理費か修繕積立金、または両方とも「不足している」と回答。6割以上が将来的に管理費・修繕積立金が「不足する恐れがある」と答えた。「特に問題はない」と答えたのは15・6%にとどまった。
築40年以上の8割弱で修繕積立金の戸当たり月額平均が1万5000円未満、約3割が1万円未満だった。
管理運営では築40年以上の27・8%が自主管理だとし、また22・2%が「特定の区分所有者が(管理組合を)運営している」と答えた。築30~39年は15・9%、築29年以下は2・2%だった。
調査報告書では今後問題となる事態として高経年における積立金不足・長期修繕計画未作成等の状況が重なり減災対応も含め、管理不全に陥る事態が想定されるなどと指摘。セミナーなどで対策の普及・啓発、管理不全兆候が見られるマンションを中心に改善事項に対応したアウトリーチ型の指導・助言が必要、などとしている。