今年2月10日に滋賀県野洲市で第1号となる管理計画認定を取得した「シャルマンコーポ野洲Ⅱ」(築32年、 131戸)。資産価値の向上やこれまでの管理組合活動の成果として、「第1号」を狙っていたという。
「周りには新しいマンションができていて、ここは32年もたっているので周りに比べたら資産価値が下がってくる。認定を取ってちょっとでも資産価値を上げることを考えた」
理事会で認定取得を提案した管理組合副理事長の早川久登さん(63)は、そう説明する。
「シャルマン―」では大規模修繕を2回実施済み。築21年のときには「維持費がかかるから」と機械式駐車場を撤去。昨年には給水管の改修も実施した。
「それぞれ歴代の理事の皆さんがされてきて、管理としてはできている部類なので、その成果として認定を取って、みんなに知ってもらいたいのがあった」と早川さん。
歴代役員の取り組みが「ちゃんと報われていることを皆さんに知ってもらうのに『1号』というのが分かりやすい。インパクトに重点を置いたんです」(早川さん)。
認定制度を知ったのは5年前。当時役員に立候補した早川さんと梶山貴美晴さん(75)が新聞記事で制度の創設を知った。
2人は、市の担当課を4回ほど訪問し、認定制度創設の意向や進(しん)捗(ちょく)、マンション長寿命化促進税制の動向を尋ねたという。
2期連続で理事長を務めた梶山さんは「市はあんまり乗り気じゃないなという感じがしましたね」と振り返る。
結局2年の役員任期中には市の認定制度は創設されず、2人は退任となったが、その後も「うちらは取りたいと思っていましたから、理事会に話をさせてもらいに行きました」と早川さん。
制度開始後、今度は輪番で役員になった早川さんが満を持して提案。
理事長の三浦元嗣さん(60)は「前から思いを聞いていましたので理事会でも話をしましたが、そんなに大きなデメリットはないから野洲で1番を取った方がいいんじゃないか」と第1号取得を目指した。
認定取得に際し取り組んだのは10年ほど未更新だった居住者名簿の整備だ。世帯人数や緊急連絡先を更新した。
昨年10月の通常総会で認定申請を決めた。ところが事前確認を依頼したマンション管理士から、長期修繕計画に見直しの費用や11年前に撤去した機械式駐車場廃止の記入、また管理規約の専有部分の立ち入りが緊急時となっていなかった点などを指摘された。
このため今年1月17日に臨時総会を開き、修正した長計や管理規約を決議した。認定申請は1月28日。
早川さんは今後の認定制度について、マンションの「解体費用が入っているか、というのが出てくるんじゃないかと思う」とみている。
空き家になり建物の寿命を迎えたとき「壊すに壊せない。あの、人がいないマンションというのが常態化してくるんじゃないか。そのときに市はどうするのか。本当に問題になってくると思う」と話している。
今後の課題は輪番役員のなり手について、高齢化で引き受けられない人が出てきた場合の対応を挙げる。
他のマンションでは「ペナルティーとしてお金をもらうという話も聞いたりするが、そこまでしていいのか」と早川さん。
将来的に「管理業者管理者方式」の導入も「やっていかないといけないのかなと思う。まだまだ大丈夫ですがあと20年、30年もしたら、そうなっていくんじゃないかなと思っている」と話している。 左から理事の太田文夫さん、副理事長の早川久登さん、理事長の三浦元嗣さん、元理事長の梶山貴美晴さん、理事の辻尚宏さん。今後の課題は高齢化で役員を引き受けない人が出てきたときの対応だという
