段階増額積み立て値上げ幅、許容水準は1.3倍 マンションみらい価値研究所ら 積立金増額プロセスなど分析

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  • 2025年5月15日

 段階増額積み立て方式を採用している場合、1回当たりの修繕積立金の増額許容水準は増額回数によらず1・3倍程度―。三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマンションみらい価値研究所が5月7日に公表した修繕積立金の増額等に関する分析結果で、長期修繕計画の設定状況を整理している。「1回当たりの増額幅は過度に大きくせず、計画期間中の増額回数を増やすことで対応する資金計画が少なくない」としている。

 『既存マンションにおける修繕積立金の増額に係る合意形成プロセスの実態および段階増額積立方式を採用した長期修繕計画上の資金計画の設定状況に関する分析』で指摘した。調査分析は2023年度のマンション管理適正化・再生推進事業として採択されている。

 大和ライフネクストの受託管理組合データを利用し「合意形成プロセスの実態分析」では3629件分を分析。2018年~23年の5年間で2197件、60・5%が修繕積立金を増額していた。1395件は改定なし、37件は減額した。

 増額ケースでは請求額の変動率平均が18年比で59・59%増、専有面積当たりの請求額は平均で月額1平方メートル当たり79円増加した(表①参照、表②に築年帯別の変動率)。ただ「ばらつきは非常に大きい」と指摘した。減額ケースでは変動率の平均で19・67%減。

 従前の修繕積立金の設定水準が低い管理組合では5年間の増額の変動幅が大きい傾向がわずかに見られた。賃貸比率や規模等と修繕積立金の増額変動幅の間には「明確な傾向は確認できなかった」としている。

 総会で増額が可決された439件と否決された58件を比較すると可決事例では検討段階で積立金の設定水準が低い傾向が見られた。主な値上げ理由は「次回大規模修繕工事費用が不足」41・4%、「長期修繕計画に対して不足」38・4%。こうした点から「可決以前の修繕積立金の設定水準が低く、必要な修繕費用の確保ができていなかった等の状況から増額が許容されやすい状況であったと推測される」と指摘。 次ページにつづく ②築年数でみた直近5年間における請求額の変動率(2018年水準) ,築年数,5年~10年 未満,10年~15年 未満,15年~20年 未満,20年~25年 未満,25年~30年 未満,30年~35年 未満,35年~40年 未満,40年以上 増額のみ,データ個数,123,249,432,551,437,198,148,57 平均値,50.57%,66.00%,64.88%,59.52%,56.66%,61.39%,48.51%,56.76% 中央値,30.37%,49.47%,49.41%,43.35%,41.78%,43.70%,30.03%,44.06% 減額のみ,データ個数,0,0,3,6,7,7,5,9 平均値,ー,ー,-29.12%,-22.54%,-18.52%,-16.95%,-16.53%,-19.36% 中央値,ー,ー,-29.98%,-18.57%,-14.86%,-15.08%,-12.24%,-16.67% 全ての ケース,データ個数,132,294,577,824,776,392,415,212 平均値,47.12%,55.90%,48.43%,39.64%,31.74%,30.71%,17.10%,14.44% 中央値,30.19%,39.03%,30.91%,26.51%,19.67%,3.65%,0.00%,24.62%①増額となったケースにおける請求金額の状況 ,請求額合計 額の変動率 (2018年水準),戸当たりの 請求金額 (2023年4月),戸当たりの 請求金額 (2018年4月),戸当たりの 請求金額の 差額,専有面積当た りの請求金額 (2023年4月),専有面積当たり の請求金額 (2018年4月),専有面積当た りの請求金額 の差額 最小値,0.24%,1,326,492,16,1,1,1 25%値,29.07%,12,887,8,522,2,957,179,119,40 平均値,59.59%,17,054,11,246,5,808,234,155,79 中央値,44.06%,16,295,10,943,4,617,224,150,64 75%値,70.26%,20,228,13,652,7,570,278,187,103 最大値,854.23%,84,186,41,820,49,885,641,369,442③段階増額積み立て方式を採用している長期修繕計画上の増額の設定状況 積立方式,既存マンション(黒字のみ),既存マンション(最終年度黒字・赤字両方) 初期額,1回当たり 引上げ倍 率(平均),終期額,終期  初期 倍率,(参考) 均等額,初期額,1回当たり 引上げ倍 率(平均),終期額,終期  初期 倍率,(参考) 均等額 5年ごと 3回引き 上げ,168.3円 ㎡・月 ,1.4倍,370.6円 ㎡・月 ,2.6倍,313.5円 ㎡・月 ,181.9円 ㎡・月 ,1.3倍,362.6円 ㎡・月 ,2.2倍,329.3円 ㎡・月 5年ごと 4回引き 上げ,127.5 ㎡・月 ,1.3倍,408.2円 ㎡・月 ,3.2倍,285.7円 ㎡・月 ,136.7円 ㎡・月 ,1.3倍,413.1円 ㎡・月 ,3.1倍,294.1円 ㎡・月 5年ごと 5回引き 上げ,176.5円 ㎡・月 ,1.3倍,535.8円 ㎡・月 ,3.1倍,337.4円 ㎡・月 ,171.5円 ㎡・月 ,1.3倍,530.4円 ㎡・月 ,3.2倍,334.0円 ㎡・月

(11,906円 戸・月) (26,370円 戸・月) (22,241円 戸・月) (13,381円 戸・月) (26,815円 戸・月) (24,259円 戸・月) (9,324円 戸・月) (29,754円 戸・月) (20,831円 戸・月) (9,305円 戸・月) (28,192円 戸・月) (20,055円 戸・月) (12,873円 戸・月) (38,574円 戸・月) (24,396円 戸・月) (12,795円 戸・月) (39,388円 戸・月) (24,827円 戸・月)

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