2025年版管理会社の受託動向調査 管理戸数「増やした」前年から2・2ポイント減 「減らした」22・7%「増減なし」29・9%

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  • 2025年5月25日

 マンション管理新聞社は、管理会社各社の2025年3月末現在の総合管理受託戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2025年版として発表する。部分管理や賃貸管理戸数は集計対象外。集計した管理会社は516社。

 4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。

 1面掲載の「グループ別ランキング」は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。

 1面に総合管理受託戸数上位15社の顔ぶれを掲載した。前年3年ぶりに首位に返り咲いた日本ハウズイングは50万戸突破を果たし首位を守った。

 22年版調査で東急コミュニティーが業界初の50万戸を突破して以来、2社目となった。東急はその後、管理委託費の「適正価格」への見直しを進めた結果、前年は1万8271戸減。今回の調査でも1万72戸減で47万戸台となり、大きく管理受託戸数を減少させている。

 ここ数年続いている管理費見直しの動きは一向に収まりそうもない。人手不足に加え人件費や資材などの高騰、清掃や設備保守などの協力会社からの値上げ要請が止まらないためだ。管理費の見直しあるいは管理仕様の見直しを管理組合に提案、その結果管理委託契約解除につながっている。

 受託管理戸数は3万戸以上の36社中2割強の8社が前年から減らした。住友不動産建物サービスも前年から5060戸減らし10位から11位に順位を落とした。一方で親会社の住友不動産が22年3109戸、23年2859戸、24年2618戸と積極的なマンション供給を行っているだけに、受託管理戸数減がより目立つ。あなぶきハウジングサービスが7192戸増やし10位にランクインした。

 上位15社では前年15位だったグローバルコミュニティが伊藤忠アーバンコミュニティを抜いて14位に。

 グループ別ランキングでは大京グループの1位は変わらずだ。マリモコミュニティの全株式を大和ライフネクストに譲渡した結果、受託戸数を減らした東急コミュニティーに替わって日本ハウズインググループが今回2位に入った。マリモコミュニティ(大和ライフリンクに社名変更)を傘下に入れた大和ハウスグループが41万5013戸と40万戸超えに。

 合人社計画研究所グループは1万8016戸増加し30万9123戸と30万戸台に乗せた。「管理業者管理者方式」による積極的な営業によるリプレイスで1万4279戸増を果たすとともに、事業主との合併で設立した管理会社の管理戸数増が寄与した。中でも、全国分譲マンション供給戸数4年連続トップ(不動産経済研究所調べ)のオープンハウスグループと設立したオープンハウス合人社コミュニティが1349戸増加。

 上表が600戸以上管理受託戸数を増加させた会社だ。長谷工コミュニティがグループ会社の長谷工コミュニティ西日本を吸収合併で統合したことで、1万4920戸伸ばし増加戸数ランキングトップになった。

 合人社、日本ハウズイング、あなぶきハウジングサービス、大和ライフネクストの増加が目立つ。

 ランキングでは30万戸以上が5社、10万戸以上が15社、5万戸以上が24社。

 3万戸以上が36社。2万戸以上が53社、1万戸以上が94社となった。

 分譲マンションのストックは昨年末時点で713万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は55・1%、グループ別上位15社では60・7%となった。

 ランキング順位で市場占有率を見ると、上位10社で45・8%、20社で60・1%、30社で66・9%、40社で71・3%、50社で74・7%、100社で84・6%、200社で92・7%になった。

 昨年1年間の受託戸数の増減状況を調べた。前年掲載の522社中、M&Aや事業譲渡、マンション管理事業撤退等でランクから外れた会社を除く511社で調べた。増加した会社は242社で47・4%、前年から2・2ポイント減った。減少した会社は116社で22・7%で前年比0・3ポイント減。増減なしは153社で29・9%。前年比2・5ポイント増えた。

 受託規模別の管理会社数と管理戸数を調べると、3000戸未満が301社で58・3%、3000戸以上5000戸未満が51社で9・9%と約7割が受託戸数5000戸未満の管理会社だ。この約7割の管理会社の受託管理戸数のシェアは8・2%にとどまった。

 1万戸以上の管理会社は94社で会社数では18・2%だが、受託戸数のシェアは84・9%を占める。3万戸以上は36社、会社数の7%で受託戸数のシェアは70・7%になる。

 10万戸以上となると会社数は15社、3%で受託戸数シェアは55・1%と過半数を占める。

 管理業界は「数」(受託管理戸数)を追い求めるよりも「管理価値」を追う時代に。マンション管理適正評価制度の推進がいい例だ。3月末現在8250件が登録されている。「管理価値」が着実に「市場価値」に反映されるようになった。実際、星3以上の場合、評価を取得していない物件と比べると価格は高く、星5の場合は約11%高いとのデータも出ている。

 各社の適正評価制度への取り組みと「管理戸数ランキング」との関係が注目される。

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