IoT技術を生かしてスマートフォンやタブレットで外出先でも応対、解錠が可能なタイプも普及してきた。
また、「置き配」を可能としたインターホンも普及し始めた。伝票番号を認証して配達中の荷物を持った宅配員のみオートロックを解錠できるインターホンシステムだ。
ワイヤレス型も開発されている。インターホン専業のプログレス(本社埼玉、菊原悦夫社長)はパナソニックが開発したワイヤレスインターホンシステム「エアイーズ」で更新工事を6月上旬に実施した。既存物件のドアのオートロック化のために開発されたもの。従来の有線式だと配線が複雑で現地調査・施工も大変だった。住戸内に立ち入っての追加配線が必要で、居住者との日程調整、在宅要請時間も長くなり、費用もかさむため住民合意のハードルが高かった。
その点、ワイヤレス配線だと既設配線が利用できるため、住戸内での追加配線が不要。集合玄関のロビーインターホンとワイヤレス送受信器までの配線工事だけで済んでしまう。
実はプログレスが施工したマンション(埼玉県川口市、26戸)はオートロック物件だったが、集合玄関機からの配線の経路が複雑・迷路化していたため、同システムで改修を行った。プログレスによれば、同システムは最大45戸までを対象としており、対応できるキースイッチも絞られている点に少し難があるとしているが、提案メリットは大きいと話す。
冒頭で述べたが、ストックの高経年化と共に、2回目、3回目の更新時期を迎えるマンションは今後増えてくる。そのために技術者の養成は待ったなしの状況だ。
インターホン設備専業のNARABA(本社東京、寺下宏之社長)では技術資格の創設を目的に「インターホンリニュ―アル技術協会」の発足準備を急いでいる。すでに一般社団法人として設立登記を済ませたという。
寺下社長によれば発足当初は会員10社を予定している。
ところでインターホン更新は全戸入室しての作業となり、各戸居住者との日程調整が必要となるが、各社ともその手間を効率化させたシステムを開発している。
プログレスは日程調整管理ソリューション「ツゴーイーネット」運用の「ウェブリッジ」社をグループ傘下に収めた。またNARABAは自社開発のインターホン工程管理システム「ICMS」を運用、好評を博している。
両システムとも工事の予約、予定変更はもとより、工事写真を専用アプリで撮り、写真整理から竣工図書まで完成させる機能を備えている。
