①マンション管理適正化法・基本方針 改正の方向性
背景,テーマ,関係条項,方向性
区分所有法改正,財産管理人制度や国内管理人制度の活用,一1,・管理組合の役割として、必要に応じて財産管理人制度を活用して、適切に管理を行う旨を追加
・海外に居住する区分所有者においては、国内管理人を選任することも含めて、マンションの意思決定に関わっていくことが重要である旨を追加
マンション管理適正化法改正,管理業者管理者方式への対応,一4,・管理業者が管理者を兼ねる場合、今般の改正で創設された規制措置や「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を踏まえて、適切に管理者事務を行う必要がある旨を追加
地方公共団体の権限強化,一3
七4,・地方公共団体の役割として、改正法に基づく以下の措置を追加
①管理が適正に行われていないと考えられるマンションに対しては、報告徴収等を行い、管理状況の把握に努めること
②勧告を行ったマンションに対しては必要に応じて専門家のあっせんを行うこと
③適正な管理のために特に必要な場合には財産管理人制度の活用を検討すること
・修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置として、マンションの修繕の実施がマンション管理適正化指針に照らして著しく不適切である場合にも勧告が可能である旨を追加
マンション管理適正化支援法人,一5
(新設),・支援法人の役割についての規定を新設。管理組合等からの相談対応や合意形成等の支援を適切に行うことや、地方公共団体の施策に必要な協力を行うことが求められている旨を規定
・地方公共団体の役割としても支援法人の登録等により民間団体との連携体制の構築に取り組むことが望ましい旨を追加
修繕勧告等を行う際の判断の基準の目安,三2
別紙一,・マンション管理適正化指針に、修繕の実施に関する事項を追加
・助言・指導を行う際の判断の基準の目安として、「長期修繕計画に基づく適切な修繕が行われていない場合」を追加
・勧告を行う際の判断の基準の目安として、「長期修繕計画に基づき、適切な修繕が行われておらず、そのまま放置すれば著しく保安上危険となる恐れのある状態等となると認められる場合」を追加
検討会とりまとめ等,修繕工事等における利益相反行為の禁止,七5,・修繕工事業者や設計コンサルタント等の関係者は、修繕工事等の入札や実施に当たり、関係法令等を順守するとともに、管理組合の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図ることがないよう、誠実かつ適正に業務を行う必要がある旨を追加
管理に関する詳細な情報の公表,七2,・管理計画認定制度の適切な運用に関する事項として、国において、管理組合の意向に応じて管理に関する詳細な情報を公表し、比較検討が容易となる仕組みの構築に取り組む必要がある旨を追加
管理計画認定制度以外の民間制度の活用,三1,・管理組合によるマンションの管理の適正化の基本的方向として、管理計画認定制度のほか、マンションの管理状況を評価・診断し公表する民間団体による仕組みも併せて活用し、段階的にマンションの管理水準の維持向上を図ることも効果的である旨を追加 国土交通省は9月5日、第12回「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を開いた。公表資料ではマンション管理適正化法・再生円滑化法で国交相が定める「基本方針」の改正の方向性を提示。一連の改正法で新設された規定、おととし8月の同検討会とりまとめなどを踏まえ改正する。管理計画認定取得の誘導策として「マンション管理適正評価制度」の「星4以上」、「マンション管理適正化診断サービス」の「S評価」に「マンションすまい・る債」の利率上乗せを適用する考えが示された。
同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば、基本方針の改正案は10月中に意見公募手続き(パブリックコメント)を行う。
管理計画認定制度の拡充の部分は別途対応する。
マンション管理適正化法の基本方針改正の方向性は表①参照。
法改正を受け、管理業者管理者方式への対応に言及するほか自治体の勧告対象に「修繕の実施」が追加されたことを受け、管理適正化指針に判断基準の目安を追加する。
助言・指導は「長期修繕計画に基づく適切な修繕が行われていない」、勧告はこれに加え「そのまま放置すれば著しく保安上危険となる恐れのある状態等となると認められる」旨を示す。
「マンションすまい・る債」の利率上乗せは「管理計画認定制度以外の民間制度の活用」の「参考」で示された。現在、措置の対象になるのは管理計画認定マンションのみ。それ以外で一定の水準を満たすマンションに対象を広げる考えを公式に示したのは同参事官付によれば今回が初めて。
基本方針にはマンション管理適正化指針の「管理組合によるマンションの管理の適正化の基本的方向」に民間団体の仕組みも併せて活用し、段階的に管理水準の向上を図る旨を盛り込む。
「管理に関する詳細な情報の公表」は、認定マンションの修繕積立金額や長期修繕計画などを想定している。
マンション再生円滑化法で新たに規定された「建替等円滑化指針」には「老朽化が進み維持修繕が困難と考えられるマンション」について、周囲に危害が生じる恐れがある状態の解消に努めるなど基本的な考え方や建て替え等の検討から実施に至る一般的な進め方を示す。
法改正で付与された助言・指導・勧告の判断基準の目安は「要除却等認定基準」をベースにする。
「著しく保安上危険または著しく衛生上有害となる恐れがあると認めるとき」に行える勧告は、複数の要除却等認定基準に該当する可能性が高いか同基準よりも安全性の水準が低いなどの可能性がある旨を示す。バリアフリー基準は除く(表②参照)。
適正化法・円滑化法共に判断の仕方など詳細は現行のガイドラインを改正し示す。
建て替え等に係る権限では「外壁剝落等の危険な状態等にあるマンションに対しては勧告を適切に行う」と言及している。
とりまとめを踏まえた部分では解体費用の確保手法の検討などを盛り込む。
同参事官付によれば次回検討会は来年1月か2月。
②再生円滑化法・基本方針の改正の方向性(一部抜粋)
背景,テーマ,関係条項,方向性
マンション再生円滑化法改正,マンション建替等円滑化指針,第九の二
(新設),・管理組合や区分所有者等によるマンションの建替え等の円滑化を図るため、基本的な考え方や合意形成の進め方を示すとともに、地方公共団体が助言・指導、勧告を行う場合の判断基準の目安を別紙に示すもの
地方公共団体の権限創設,第一
第二第2項,・基本的な方向として、老朽化が進み維持修繕が困難なマンションに対しては、再生等が円滑に進むよう、地方公共団体が能動的に関与することが必要である旨を追加
・再生等に向けた区分所有者等の合意形成の促進のため、地方公共団体が取り組むべき事項として、改正法に基づく以下の措置を追加
①老朽化が進み維持修繕が困難と考えられるマンションに対しては、報告徴収等を行い、管理状況や建物の劣化状況、再生等に向けた検討状況等の把握に努めること
②老朽化が進み維持修繕が困難なマンションに対しては、助言・指導を適切に行うとともに、さらに外壁剝落等の危険な状態等にあるマンションに対しては、勧告を適切に行うこと
③勧告を行ったマンションに対しては必要に応じて専門家のあっせんを行うこと
④勧告を受けたマンションが正当な理由がなく、その勧告に従わない場合には、その旨を公表することを検討すること
助言・指導、勧告を行う際の判断の基準の目安,別紙
(新設),・地方公共団体が助言・指導を行う際の判断の基準の目安として、「要除却等認定基準に該当する可能性があると認める場合」とする
・地方公共団体が勧告を行う際の判断の基準の目安として、以下のいずれかに該当すると認める場合とする
①要除却等認定の複数の基準(バリアフリー以外)に該当する可能性が高い場合
②要除却等認定の基準(バリアフリー以外)よりも安全性の水準が低いことにより、またはさらに劣化が進むことにより、著しく保安上危険となり、または著しく衛生上有害となる恐れがある場合
※上記以外の場合においても、個別の事案に応じて、マンション建替等円滑化指針等に即し、必要な助言・指導、勧告を行うことは差し支えない