国土交通省近畿地方整備局は9月9日、商船三井興産(本社東京、中島孝社長)にマンション管理適正化法に基づく指示処分を行ったと発表した。
処分理由は①元従業員による受託管理組合財産の着服②管理組合の会計収支書面に事実と異なる記載をして交付③管理事務報告に事実と異なる記載・報告―。
同社によれば、被害に遭ったのは1管理組合。着服後、発覚を防ぐために収支報告書・管理事務報告を偽装したとみられる。②③の「事実と異なる記載」も、この元従業員による行為。
着服行為をした元従業員は内勤の経理担当者。性別・年齢・肩書き・所属などは明らかにしなかった。
着服の発覚は「本人の自白」(同社)。疑わしい点があり上長が聞いたところ、本人が着服行為を認めた。具体的な疑義の内容や発覚の時期は「控えさせていただきたい」(同)。
手口や着服金額・期間も「非開示とさせていただいている」(同)。
同整備局によれば2022年2月、着服について匿名の投書が整備局に寄せられた。同社に確認し、今回の事案を確知したとしている。確認した時期については明らかにしなかった。
同社によれば報告しようとした「まさにそのタイミング」で整備局から確認の連絡があった。
管理組合への被害額の弁済対応については「内容は控えたい」(同)。この経理担当者は懲戒解雇処分とした。
現時点で同社による刑事告発は検討していない。
監督処分基準では③は業務停止7日だが、事案を総合的に勘案し軽減措置が取られている。
同社は「チェック体制の見直しをメインに再発防止策をしっかり行いコンプライアンスの順守の強化を図る」と話している。
現在の総合管理受託規模は非公表。加入している一般社団法人マンション管理業協会(管理協)のホームページによると23年3月時点での受託規模は2管理組合5棟272戸。