築40年経過「将来像検討」促す 適正化法・再生円滑化法 「基本方針」改正案公表 国交省

 ②「マンション建替等円滑化指針」案(一部抜粋)

 2 マンションの建て替え等の円滑化に向けた合意形成の進め方

 マンションの建て替え等の円滑な実現に向けては、中長期的なマンションの建て替え等の方針の検討段階から、マンション建て替え事業等の実施段階に至る全ての段階にわたって、関係権利者の合意形成が円滑に図られることが重要であり、その一般的な進め方は次に示すとおりである

 イ 中長期的なマンションの建て替え等の方針の検討

建設後相当の期間(築約40年等)が経過したマンションにおいて、長期修繕計画の検討を行う場合等にあっては、マンションの建て替え等も視野に入れて当該マンションの将来像を検討し、中長期的なマンションの建て替え等の方針の検討を行うことが望ましい

 ロ・ハ・ニ(略)①マンション管理適正化・基本方針改正案(一部抜粋)

 一 マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項

 4 マンション管理士およびマンション管理業者等の役割

 (略)また、マンションの管理においては、マンション管理士等専門的知識を有する者やマンション管理業者等が管理組合の管理者等に就任する外部管理者方式の採用例が増加しつつある。特にマンション管理業者が管理組合の管理者等を兼ねる場合には、修繕工事等の実施に当たり、区分所有者の利益に反する事態が生じる懸念があることから、法および「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」も踏まえながら、自己取引等を行おうとする際には、区分所有者に対して取引相手や取引内容等を事前説明するなど、適切に管理者事務を行う必要がある

 三 管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に関する基本的な指針(マンション管理適正化指針)に関する事項

 1 管理組合によるマンションの管理の適正化の基本的方向

 (略)

 (5)管理組合においては、管理計画認定制度のほか、民間におけるマンション管理の評価・認定等に関する各種制度も併せて活用しつつ、多面的にマンション管理の質の向上を図ることも考えられる

 2 マンションの管理の適正化のために管理組合が留意すべき事項

 (略)

 (6)マンションの修繕の実施

 マンションの経年に伴い、建物・設備の劣化や性能・機能の低下が進んだ場合、劣化した建物・設備またはその部分の性能・機能を実用上支障のない状態まで回復させるため、修繕を行うことが重要であり、適時適切な維持修繕に当たっては、保守点検や、軽微な破損などに対して行う経常的な補修のほか、長期修繕計画に基づき、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行うことが必要である。また、大規模修繕の実施に当たっては、建物・設備の調査・診断を行い、現状の劣化・損傷の程度等を正確に把握し、必要と考えられる修繕工事の内容を検討することが重要である。修繕のほか、マンションの居住環境や資産価値を良好に維持するためには、修繕による性能・機能の回復に加えて、生活様式や社会環境の変化等を踏まえ、性能・機能を向上させる改良を行うことも考えられる

 七 その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項

 (略)

 4 修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置

 (略)また、都道府県知事等は、マンションの専有部分や共用部分が適切な管理がなされていないことにより、上記のような状態となり、適正な管理のため特に必要があると認められるときは、管理不全部分について、裁判所に対して財産管理人選任の請求をすることも考えられる。その他、マンションの経年に伴う劣化や不具合が著しく、修繕を行っても、マンション管理の立て直しが困難である場合には、マンションの建て替え等の観点から、「マンションの建て替えその他の措置の実施の円滑化に関する基本的な指針」に即した助言・指導等を行うことも考えられる

 別紙一 法第五条の二に基づく助言・指導等を行う際の判断の基準の目安

 (助言・指導等)

 1 管理組合の運営

 (1)管理組合の運営を円滑に行うため管理者等が定められていない場合

 (2)集会が年に1回以上開催されていない場合

 2 管理規約

 管理規約が作成されておらず、また、必要に応じた改正が行われていない場合

 3 管理組合の経理

 管理費および修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていないなど、適正な管理が行われていない場合

 4 長期修繕計画の作成および見直し等

 長期修繕計画が作成されておらず、また、必要に応じた見直しが行われていない場合や、適時適切な維持修繕を行うための修繕積立金が積み立てられていない場合

 5 マンションの修繕の実施

 (助言・指導)長期修繕計画に基づく適切な修繕が行われていない場合

 (勧告)長期修繕計画に基づき、適切な修繕が行われておらず、老朽化したマンションがそのまま放置すれば、著しく保安上危険となる恐れのある状態または著しく衛生上有害となる恐れのある状態その他マンションにおける居住環境の保全を図るために放置することが不適切である状態となると認められる場合 国土交通省は9月26日、マンション管理適正化法・再生円滑化法で国交相が定める「基本方針」の改正案を公表し意見公募手続き(パブリックコメント)を始めた。10月26日午後2時まで。11月に公布予定。

  基本方針の主な改正点を抜粋して示した(表①参照)。9月5日の検討会で示された方向性に沿った内容だが、助言・指導等の判断基準の目安で、前提としていた「長計未作成」「見直しの未実施」を明示した。

  「管理組合の経理」では、区分経理が行われていない「など」と幅を持たせたが、同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば現行のガイドラインで判断の参考基準として示されている管理費・積立金の未徴収や会計帳簿の未作成や未保管が含まれている。

  修繕勧告の判断基準の目安は適正化法で特例措置として規定された、自治体が裁判所に請求できる管理不全専有部分・共用部分管理命令と同様の文言を参考にしている。

  「居住環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」は同参事官付によれば電気設備やエレベーターが故障し使えないまま修理していない状態を指す。

  「修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置」には経年劣化法や不具合が著しく修繕で管理の立て直しが困難な場合は再生円滑化法で新たに規定された「建替等円滑化指針」に基づく助言・指導等を行う考えを追加。

  マンション管理適正化指針に新たに示す「マンションの修繕の実施」では長計に基づく修繕、建物や設備の調査・診断に加え「性能・機能を向上させる改良を行うことも考えられる」と言及した。

  「建替等円滑化指針」で示す合意形成の進め方は、建て替え等の方針の検討・提起の検討段階・提起段階・計画段階に応じて検討や推進決議の実施など目標を記載する。

  中長期的な建て替え等の方針の検討が望ましい建設後相当期間が経過したマンションを「築約40年等」と示した(表②参照)。

  同参事官付は「40年はわれわれがいろいろな所で二つの老いに関し説明している数字。目安なので、これに限るものではない」と話している。

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