首都直下型地震・最重要対策はマンションのトイレ問題 防災テーマに 「4日分配布」提案も 10 11 東京都セミナー

当日はオンライン配信も実施。合わせて170人超が聴講した

 当日はオンライン配信も実施。合わせて170人超が聴講した

  東京都・一般社団法人東京都マンション管理士会は10月11日、西新宿の都議会議事堂1階都民ホールで「東京都マンション管理・再生セミナー2025」を開いた。

  「マンション防災」をテーマに、鍵屋一・跡見学園女子大学教授が「過去の地震から学ぶマンションの防災・減災対策」、奥田建蔵・一般社団法人マンション地震対応支援協会副会長が「大規模災害に備えて『今やろう、広めよう』マンション防災」のタイトルで講演した。

  鍵屋教授は首都直下型地震の最重要対策は「マンションのトイレ問題だと思っている」と指摘。マンホールトイレや仮設トイレは「全部1階にしかない」として「トイレのたびに上り下りするのは困難」と指摘した。

  過去の災害ではマンション住民の多くは自宅のトイレが使えないため避難所に行ったり車中泊を余儀なくされたとし「トイレが使えないとマンション住民は避難所に押し寄せる」が、一方で自治体はマンション住民の避難所までは用意していない。

  鍵屋教授は都に1人1日5回として「4日分の防災トイレを配ってほしい」と提案した。

  奧田副会長は、熊本地震の経験を基に2016年、NPO法人熊本県マンション管理組合連合会と古賀一八・福岡大学教授(当時)が開発した「マンション地震対応箱 MEAS」を紹介した。

  「MEAS」は、被災時に取る行動を示した、アクションカードと呼ばれる指示書、復旧の流れを示したマニュアル、活動手順ポスターで構成する。指示書には発災時の初動対応、安全確保の進め方等が提示されている。

  奧田副会長は自身のマンションでも「MEAS」を活用しているとし毎年1回輪番制の新任理事長に「MEAS」について説明していると述べた。

  講演後、聴講者の質問に答えた奥田副会長は「一番困るのは(災害が)起きたとき(マンションに)いる住民の方が何をやっていいのかが分からない、分からないから動けない、でパニックになるという状態」と解説。

  住民が動くには地震の災害教訓から生まれた「MEAS」を「置いてあるだけで安心、ということは言えると思う」と話した。

  西平倫治・民間住宅部マンション防災担当課長は、エレベーターの「閉じ込め」で、地震時管制運転装置が付いていても閉じ込めが発生した場合に自動で最寄り階に移動し閉じ込めを解消する「リスタート運転機能」を追加する際に利用できる補助制度など、都の支援策を紹介した。

指定の固定ページが見つかりません。