「議案の要領」で解説追加も 標準管理規約改正 法改正事項を反映 国交省 総会の定足数 「半数以上」から過半数に

 従来の標準管理規約からの主な変更・改正点(単棟型)

 ■改正法を踏まえた見直し

・総会の定足数について議決権総数の半数以上を「過半数」に変更(第47条・同条関係コメント)

・特別決議について定足数を組合員総数および議決権総数の各過半数の出席と規定。多数決要件を組合員総数および議決権総数の各4分の3以上から「出席組合員およびその議決権の各4分の3以上」に変更(同)

・特別決議の議事に「敷地および共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等」を追加(第47条)

・敷地および共用部分等の変更決議で多数決要件を「3分の2以上」に緩和できる際の要件を示した規定を新設(第47条・同条関係コメント)

・一棟リノベーション・建物取り壊し・建物敷地売却・建物取り壊し敷地売却の決議要件や建て替え決議も含め「4分の3以上」に緩和できる際の要件を示した規定を追加(第47条)

・総会招集の通知事項で義務化された議案の要領を追加。緊急時、通知について短縮できる期間を5日間から1週間に変更。敷地・共用部分の変更やこれに伴い必要となる専有部分の保存行為等の決議、また再生に係る決議について多数決要件が緩和される場合はその旨と該当理由の通知を義務付ける規定を新設(第43条)

・所在等不明区分所有者を総会決議等から除外する手続き規定を新設(第67条の3・同条関係コメント)

・国内管理人を選任・終了・変更した場合に届け出を義務付ける規定を新設。選任を義務化する規約例、届け出の様式も提示(第31条の3・同条関係コメント)

・共用部分と構造上一体となった専有部分の設備を管理できる要件に総会決議を規定。この一体管理は「敷地および共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等」に含まれる旨明示(第21条・同条関係コメント)

・緊急時の専有部分の立ち入りの規定について、理事長が保存行為を実施できることを追加(第23条・同条関係コメント)

・共用部分等に係る損害賠償請求権の代理行使について、損害賠償金等は修繕費用に充当するなど使途を規定。当該請求権の個別行使や区分所有権を譲渡した場合における別段の意思表示を禁止する旨の規定も整備(第24条の2・同条関係コメント)

・所有者不明専有部分・管理不全専有部分管理人制度の手続き規定を新設(第67条の4、第67条の5、同条関係コメント)

■社会情勢等を踏まえた見直し

・喫煙に関するルールを定める際の考え方を新設(第18条関係コメント)

・防災に関する業務内容を明記(第32条関係コメント)

・防火管理者に関する規定を新設(第32条の2・同条関係コメント)

・「なりすまし」事案を受けた管理組合役員等の本人確認に関する考え方や確認方法を新設(第35条関係コメント・第55条関係コメント)

 ・役員は区分所有者が就任し、本人が理事会に出席できない場合、配偶者や一親等の親族を職務代行者として選任することができる考えを新設。職務代行者を認める場合の規約条文例も提示(第53条関係コメント)

 ※太字部分(特別決議の多数決要件等、総会招集手続き)は従来の規約では改正法に抵触する事項 国土交通省は10月17日、マンション標準管理規約を改正・公表した。区分所有法の改正事項を反映させる一方、社会情勢を踏まえた規定を整備した。標準管理規約の改正は団地型のみの改正を含め10回目。

  9月に公表した改正案から重大な変更はないが、総会招集時に提示が義務化された「議案の要領」について「『会議の目的』とは議題の名称に当たると考えられるのに対し『議案の要領』とは賛否を検討できる程度に決議する内容の案を要約したもの」が該当する旨をコメントに追加した。

  総会の会議・議事では普通決議で実施可能な工事として給水管更生・更新に排水管をコメントに追加するなどの変更を加えた。

  主な変更・改正点を表に示した。改正区分所有法は来年4月1日に施行され、同日以降改正法に抵触する管理規約の規定は無効となる(表の注記参照)。国交省は各マンションが標準管理規約に倣い管理規約を改正する際の注意点を示し、円滑な改正を促している(5面参照)。

  本人が理事会に出席できない場合、内縁の相手方を含む配偶者や内縁関係の一親等の親族を理事の職務代行者として選任できる旨の考えを示したり、また理事の本人確認など情勢変化を踏まえた諸所の改正も行っている。

  改正案からの変更では、理事会の議決事項に役員が自己または第三者のために管理組合と取引をする場合などの承認・不承認を追加。また臨時総会の招集などを決議事項として確認的に加えた。

  共用部分等に係る損害賠償請求権の代理行使で損害賠償金の使途について瑕(か)疵(し)の修繕費用に「充当してなお残余があるとき」は管理費等に充当できる旨を追加。条文名は「保険金等の請求および受領等」に変更した。

  国内管理人では管理人自身が債務を弁済する義務を負わないことをコメントに追加。

  防火管理者では高層建築物等で防火管理上必要な業務を統括する防火管理者の選任が必要である考えを追加している。

  普通決議で実施可能な工事として排水管の更生・更新が加わった。2002年の区分所有法改正を受けた見直しで決議方法が新設された際、給水管の更生・更新が示されたが排水管の言及はなかった。

  9月10~25日に実施した意見公募手続きには83の個人・団体から100件の意見が寄せられた。意見提出者数は前回、24年改正時(約40の個人・団体から約150件)の2倍に上った。

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