マンション管理適正化支援法人制度 11月28日スタート  利益相反懸念し制約 設計・監理、管理業務実施法人 岡山市は登録不可 「支援外業務」の実施禁止も

 岡山市の誓約書※一部抜粋

  当法人が支援法人として管理支援業務を実施している期間において、当法人が管理支援業務を行う当該管理組合、管理者等(区分所有者を含む。以下同じ)を相手方として管理支援業務を適正に実施するため、支援法人が管理支援業務以外で行う業務として適さない業務(以下「管理支援外業務」といいます)を行わないこと

  当法人が支援法人として管理支援業務を実施している期間において、当法人が管理支援業務を行う当該管理組合、管理者等を相手方として、当法人に所属する役員の兼任先の法人が管理支援外業務を行わないこと

  当法人が支援法人として管理支援業務を実施している期間において、当法人に所属する会員事業者等をあっせんする場合には、当法人が支援法人として管理支援業務を行う管理組合、管理者等を相手方として、管理支援外業務を行わないこと

  改正マンション管理適正化法・建替え円滑化法が11月28日、一部施行され「マンション管理適正化支援法人」の登録制度がスタートした。一部の自治体では登録等の要綱などを定め申請受け付けを開始している。現時点で登録要件を公表している自治体については、おおむね国土交通省が自治体に示した手引き書に基づき要件を定めているケースが多いと考えられる。登録に際しては「利益相反」を警戒し、マンション管理事務や修繕工事の施工、設計・監理コンサルなどを行う法人は登録できない旨示す自治体があった。

  支援法人に登録できるのは改正法では一般社団法人・同財団法人、NPO法人、施行規則で「マンションの管理の適正化の推進を図る活動を行うことを目的とする会社」と定めている。

  岡山市は改正法の一部施行に伴い同日、適正化支援法人の登録要件等を公表した。

  登録可能な法人として「公益」を含む一般社団・財団法人、NPO法人、会社法人を提示した。

  一方、マンションの管理事務や修繕工事の施工、設計・監理、設備等の販売・工事・保守点検、仲介・販売を行っている法人は「管理支援業務と同時に行うことで利益相反となる恐れがある」とし、当該業務を行っている会社その他の法人は「登録を受けることはできない」と明示している。

  また「会社」については「定款で『マンションの管理の適正化の推進を図る活動を行うことを目的』とすることが定められている」ことを要件としている。

  市住宅課によれば、支援法人の登録要件は制度開始に伴い国土交通省が示した登録等の「手引き」に記載している内容を基にした。

 「管理支援業務を適正かつ確実に実施することができる」など、法に規定されているが条文だけでは明確になっていない部分について「審査でどういった部分を確認するかが手引きに書かれていて、それを基にした」(同課)としている。

  手引きには要綱や支援業務を適正に実施するため、「管理支援業務以外で行う業務として適さない業務(管理支援外業務)を行わない」などの事項を記載した誓約書などの作成例も示されているという。

  同市が作成した誓約書では、前記の内容のほかに支援法人の役員が兼任する法人や支援法人に所属する会員事業者が、支援業務を実施している管理組合を相手に支援外業務を行わない旨も定めた(表参照)。

  高槻市も要綱などを公表している。市住宅課は「手引きに準じて作成した」と話す。

  誓約書で岡山市同様、管理支援業務以外の業務を行わない旨も示している。

  兵庫県も「登録を受けることはできない」(住宅政策課)と話す。要綱では支援法人の名称などの変更届は「30日前まで」、事業報告は「事業年度の終了後3カ月以内」と手引きの作成例に「追記した」(同)。

  東大阪市も同様の対応。申請書や誓約書などは公表しているが要綱は「作ってはいるが他市の状況を見て変更の可能性もある」(市企画推進課)と明らかにしていない。

  栃木県は「支援法人が行える業務」を公表している。県住宅課によれば手引きに記載された内容を引用した。

  支援外業務については岡山市と同様の誓約書を作っている。要綱などは手引きを参考にした。

  この5県市は、おおむね国の手引きに基づいて設定していると考えられる。

  国交省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば手引きは11月10日に自治体に示した。公表の予定はない。

  支援法人の管理支援業務以外の業務について「何かあったときに制度の信頼性に関わる。特に利益相反は気にしている」(同参事官付)。

  1級建築士事務所を開設している管理組合団体もあるが「われわれから、こういう場合は駄目、良いというものではない。適切に業務を行う判断として、どう審査するかは自治体の判断」(同)と話している。

  一方、審査基準や方針、要綱が整うまで登録を行わない自治体もある。埼玉・滋賀・広島県、文京区、武蔵野・東大和・浦安・吹田・門真・三木・加古川市などは各ホームページでその旨告知している。

  滋賀県は登録申請の受け付けは来年「4月1日を予定」としている。加古川市は「必要性を含めて方向性を検討している」(住宅政策課)。

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