業者・コンサルにも厳しい目 管理適正化・建替え円滑化 「基本方針」を改正 国交省 11月28日一部施行 建て替えで「指針」新設

  国土交通省は11月21日、マンション管理適正化法・建替え円滑化法で国交相が定める「基本方針」を改正・公布した。同月28日、改正法の一部施行に伴い、関係する部分を施行した。改正法で新設された規定、おととし8月の同省の検討会とりまとめなどを踏まえた改正で、9月に公表された案から内容に重大な変更はない(10月5日付・第1315号に関係記事)。

  今回施行されたのは主に自治体の助言・指導、勧告、マンション管理適正化支援法人に関する部分。建替え円滑化に関する基本方針も同様だが、新設された「マンション建替等円滑化指針」も施行した。国内管理人制度の活用や各種財産管理制度、敷地売却・除却敷地売却事業等などに言及する箇所は来年4月1日の施行。

  マンション管理適正化法の基本方針では、改正法で、自治体の勧告対象に「修繕の実施がマンション管理適正化指針に照らして著しく不適切であることを把握したとき」が追加されたことを受け、管理適正化指針に判断基準の目安を新設した。

  「その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項」で示される「修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置」も一部変更・追加が行われた。修繕が行われても適正な管理体制の確保が困難な場合は、円滑化法上の助言・指導、勧告手続きにスライドすることになる可能性を示した。

  設計コンサルタントの業務の適正化についても文言が追加された(表参照)。

  国や自治体、管理組合らの役割を示す「基本的な事項」では区分所有者に対し、新たに「管理組合の運用を外部の専門家等に委ねる場合も含め」、と文言を差し込み、その役割を適切に果たすよう示した。

  新たに関係者として「マンション管理適正化支援法人」を設けたほか、管理業者については管理業者管理者方式の規定を踏まえ自己取引等に際し区分所有者に対する取引相手・内容などの事前説明を行う旨を追記した。

  検討会とりまとめを反映した部分では管理計画認定制度と併せて民間制度を活用し管理の質の向上を図る考え方を新設。認定制度の拡充に関し管理に関する詳細な情報の公表などを盛り込んだ。

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  建替え円滑化法の基本方針では、助言・指導は「要除却等認定」基準に該当する可能性があると認める場合、勧告はバリアフリー基準以外の複数の要除却等認定基準に該当する可能性が高いか同基準よりも安全性が低いことなどを設定した。

  同指針には建て替え等の合意形成の進め方も示した。

  9月26日~10月26日に実施した改正案の意見募集には6件の意見が寄せられた。

 適切な修繕等の実施に関する事項に関する主な変更点

  4 修繕等が適切に行われていないマンションに対する   措置

  その他、マンションの経年に伴う劣化や不具合が著しく、修繕を行っても、マンション管理の立て直しが困難である場合には、マンションの建て替え等の観点から、「マンションの建替えその他の措置の実施の円滑化に関する基本的な指針」に即した助言・指導等を行うことも考えられる

 5 修繕工事および設計コンサルタントの業務の適正化

  また、修繕工事業者や設計コンサルタント等の関係者は、修繕工事等の入札や実施に当たり、関係法令等を順守するとともに、管理組合の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図ることがないよう、誠実かつ適正にその業務を行う必要がある

 「修繕の実施」の助言・指導・勧告の判断基準の目安

 マンションの修繕の実施

 (助言・指導)長期修繕計画に基づく適切な修繕が行われていない場合

 (勧告)長期修繕計画に基づき、適切な修繕が行われておらず、老朽化したマンションをそのまま放置すれば、著しく保安上危険となる恐れのある状態または著しく衛生上有害となる恐れのある状態その他マンションにおける居住環境の保全を図るために放置することが不適切である状態となると認められる場合

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